「カルトは恐怖心で人を支配する」紀藤弁護士もSNSのミニカルト化警鐘のメッセージ

スマホの急激な普及により、現代社会がSNSを利用するネットカルトが生まれる時代になった。
木下カルトの今は、少数の熱狂的信者達とミニカルト化し、SNSで情報を操作し多数を煽り、次なるステップは講演会というビジネスモデルが、ネットカルトが新たな段階へと成長をしてゆくプロセスを暴走している。
紀藤弁護士も反省と自戒の念を込めて、メッセージを送っているのだ。
「現代社会は悩みを抱える人が減らないので、カルトのニーズもなくなりません。最近、目につくのはいわゆる“オフ会”からの広がりです。悩みを抱えた者同士がネットなどで知り合い、周りの数人とちょっとした集団を形成して、次第にカルト的な色彩を示す傾向が強まっています。
被害者からの聞き取りしか情報源がありません。小さいカルト団体は、私たちも数年かけて交渉しないと本質が見えてこない。
規模の大小に違いはあっても、私たちのすぐそばに危険なカルトが数多く潜んでいる状況は昔も今も変わらないのです。」

脱マインドコントロールのスペシャリストが警告!「カルトは恐怖心で人を支配する」
週プレNews 2013年6月4日

マインドコントロールを利用した詐欺や悪徳商法も許せないが、より深刻なのが人生を台なしにしかねないカルト系の宗教や団体だ。数多くのカルトを相手に信者や財産を奪還してきた紀藤正樹弁護士に、その実態を聞く。

■カルトをやめても「自分が悪い」と言う

マインドコントロールとは、他者の働きかけによって人格が変わってしまった状態のことをいいます。マインドコントロールにかかっているか否かは、客観的事実から判断するしかありません。

そうした視点で元オセロの中島知子さんの一件を見ると、マインドコントロールされた状態だったといえるでしょう。推定年収が数千万円あったはずの人が家賃を払えない状況になり、社交的だった人が引きこもりのようになっていた。これは明らかに人格の変化があったわけです。

そもそもマインドコントロールは人の心を動かすためのテクニックで、一般社会でも普通に使われています。ですから、カルトと敏腕セールスマンの手法は、すごく共通点があるんですね。

中島さんの場合は占い師と同居していましたが、理性のない人がマインドコントロールの手法を使ったところが最大の問題でした。当時の中島さんのように占い師に相談するような状態の人が、従属心と依存心を持つのは当たり前。それを利用して相談者の財産を収奪するなんて、明らかに職業倫理に反しています。

残念ながら、世の中には肩書に関係なく悪い人がいる。そうした人から身を守るためにも、世の中には悪いヤツがいると常に認識しておいてください。

マインドコントロールは一対一でも、カルトなどの集団でも使えます。カルトが恐ろしいのは、社会規範に反し、法規範を逸脱していく過程で信者の人格を破壊していくからです。

1990年代後半から2000年代後半にかけて、X JapanのToshlさんがマインドコントロールされたホームオブハート事件がありました。団体の事実上の主宰者は、「上場企業の役員の座も社会も捨てて、那須の自然とともに生きる」などと言っていたにもかかわらず、Toshlさんから吸い上げたお金で高級車を買いそろえていった。

その行為を見てToshlさんもあぜんとするわけですが、「おかしい」という葛藤が精神の限界を超えると病気になる人がいます。Toshlさんは歌えなくなるほどの精神状態に追い込まれて入院し、自分を取り戻すまでに数ヵ月かかりました。

カルトをやめた人の多くは最初、「自分が悪い」と言います。

Toshlさんもそうでした。金銭を収奪されているのに「自分が悪い」というのは変な話ですが、「教えについていけなかった自分が悪い」と思わせられる。マインドコントロールにはそうした離脱困難性があります。単に人をコントロールするだけではなく、そのコントロール状態から離れられなくするところに恐ろしさがあるのです。

■正体のわからないミニカルトが増加中

数々の事件を起こしたオウム真理教では、多くのエリートがマインドコントロールによって支配されました。それはオウム側から標的にされたからで、カルトも組織である以上、優秀な人材を狙うのは当然です。

一方、オウムに入ったエリートたちの側は、インスタント志向を強く持っていました。理系の学生が大学院や企業の研究者として人の上に立つまでには、最低でも10年はかかるでしょう。でも、オウムにハマった科学者や医師は「今すぐトップになりたい」という人ばかりで、そうした心のスキを突かれたわけです。

もちろん、カルトが狙うのはエリートばかりではありません。お金持ちや、バリバリ働ける体力のある人も組織としてメリットがあるのでターゲットになります。

カルトについてハッキリ言えるのは、どんな団体も、勧誘の際に言っていたことと、入ってからやらされることに雲泥の差があること。正体を名乗らない勧誘や、サークルの偽装活動には要注意。冷静に考えたら、勧誘の際に名前を隠す集団はおかしいですよね? 発言や活動にウソや矛盾を少しでも感じたら、ノーと言うこと。彼らのマインドコントロールの手法に染められると、もう気づけなくなってしまいます。初期段階で気づくしか逃げる方法はありません。

ウソや偽装勧誘より怖い、恐怖支配というものもあります。

オウムでは麻原彰晃の教えに背くと無間地獄に落ち、未来永劫抜け出せないといわれていました。ウジ虫などに生まれ変わるのではなく、生まれ変わることすらできない。そうした地獄を映像や音声で現実感のあるイメージとして恐怖心を植えつけ、やめられなくする。まず最初に恐怖を感じた時点で、すぐ逃げるべきです。

オウム真理教事件が起きて以降の特徴として、日本ではミニカルト化が進みました。麻原彰晃を含めて13人の死刑が確定しているオウムは現在、アレフとひかりの輪に分かれて存続し、アレフは信者の数が増えています。地下鉄サリン事件を知りながらも入信する理由は、集団的な生活や、誰かに従属しないと生きられない人がいるからです。

ただし、以前のオウムは求心力と成長力を備えていましたが、今のアレフには求心力はあっても、成長力はありません。

しかし、成長力のない団体が安全かといえば、別の問題。求心力だけの宗教はどんどん孤立するので、どこかで社会と折り合いがつかなくなる可能性がある。その結果、いずれ暴発する危険をはらみ、現在、強い懸念が生じています。アレフはここ数年、マスコミの取材に応じなくなっており、社会からの孤立化が進んでいます。

現代社会は悩みを抱える人が減らないので、カルトのニーズもなくなりません。最近、目につくのはいわゆる“オフ会”からの広がりです。悩みを抱えた者同士がネットなどで知り合い、周りの数人とちょっとした集団を形成して、次第にカルト的な色彩を示す傾向が強まっています。

私たちにとってこれが困りものなのは、相手の素性がわからないこと。信者が何万人もいる団体ならば、脱会した信者がどこかにいるので聞き取り調査をすることができます。しかし、個人で主宰しているものは実態をつかみづらい。被害者からの聞き取りしか情報源がありません。小さいカルト団体は、私たちも数年かけて交渉しないと本質が見えてこない。

規模の大小に違いはあっても、私たちのすぐそばに危険なカルトが数多く潜んでいる状況は昔も今も変わらないのです。

(取材・文/宮崎俊哉 中島大輔 渋谷 淳 撮影/伊藤晴世)

●紀藤正樹(きとう・まさき)

リンク総合法律事務所所長。弁護士(第二東京弁護士会所属)。1992年から日本弁護士連合会消費者問題対策委員会幹事を務め、宗教や霊感商法、インターネットにまつわる消費者問題、被害者救済などに精力的に取り組んでいる。『マインド・コントロール』(アスコム)など著書多数

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